アリーナに課金すべきか

個人的には課金はした方が良いと考えています。と言っても実際に課金した側の人間の言葉なので、話半分に聞いておいて良いです。
課金するかどうかを判断するには、課金で得られるものと、それで何ができるか、について、無課金と比較するのが一番良いと思うので、その辺りを掘り下げます。

課金の効果

アリーナで課金をすると、「ジェム」と呼ばれるゲーム内通貨が購入できます。最も効率の良いまとめ買いの場合、99.99ドルで20,000ジェムです。600ジェムでレア(神話レア含む)1枚、アンコモン2枚、コモン5枚のアリーナ特別パックを3つ購入できます。
無課金の場合、「ゴールド」と呼ばれるゲーム内通貨を貯めていき、1,000ゴールドで上述のアリーナ特別パックを1つ購入できます。つまりカード購入において3,000ゴールド≒600ジェムに匹敵すると大雑把に捉えて差し支えありません。つまり、99.99ドルでの20,000ジェムの購入は100,000ゴールドの購入と等価と見て良いでしょう。

では無課金プレイでゴールドを貯める方法はと言うと、中心となるのは、変動制のデイリーミッションと固定制のデイリー報酬になります。デイリーミッションは条件を満たすことで500ゴールドまたは750ゴールド、デイリー報酬は14勝(15勝まであるが15勝目の報酬はカードのため省略)で計750ゴールドです。毎日デイリーミッションをやりながらデイリー報酬も全回収すると、1日最低1,250ゴールドです。これには14勝、つまり最低14試合やらなければならず、1試合10分~15分程度だとして、2,3時間かかる計算になります。
時間を節約するのであれば、デイリー報酬の獲得ゴールド効率が良い4勝までに絞れば1日550ゴールド、デイリーミッション併せて1日最低1,050ゴールド獲得です。4勝であれば1時間もあればいけるでしょう。それに加えてウィークリー報酬として1週間に15勝でブースターパック3つ手に入るので、これらを3,000ゴールド換算とすると、毎日1時間程度のプレイで1週間に最低10,350ゴールド分稼ぐことになります。

これ以上稼ぐとなると、ゴールドを失うリスクがある参加費のあるイベントで一定以上の勝ち数を重ねるぐらいしかなく、腕前や十分に強力なデッキが要求されます。ですので、ここまでが現実的な無課金プレイでしょう。
すなわち99.99ドルで100,000ゴールド分購入できる課金は、大体10週間分の時間を購入することになります。2ヶ月半程度ですね。

得られるもの

ではこの100,000ゴールド分で何が得られるか、についてですが、アリーナ特別パックを1,000ゴールドで1パック購入できるので、100パック開封できることになります。
パックはレア(神話レア)1枚、アンコモン2枚、コモン5枚なので、ランダムなレア以上が100枚、ランダムなアンコモンが200枚、ランダムなコモンが500枚手に入ります。それと同時に、パック開封に伴ってワイルド・カードのゲージが貯まり、ワイルド・カードが手に入ります。100パック開封した場合、おおよそ神話レア3枚、レア13枚、アンコモン17枚ほどのワイルド・カードが手に入っているはずです。
また、稀に通常のパックからそのレアリティのカードの代わりに同じレアリティのワイルド・カードが入っていることもあります。こちらは確率なので変動はありますが、標準的な確率で言うと、100パックから神話レア4枚、レア4枚、アンコモン20枚、コモン33枚ほどのワイルド・カードが手に入っているはずらしいです。

まとめると、
神話レアのワイルド・カードが3~7枚
レアのワイルド・カードが13~17枚
アンコモンのワイルド・カードが17~37枚
コモンのワイルド・カードが約33枚
これに加えてランダムなカードが手に入るのが99.99ドル課金の標準的な得られるものになります。
99.99ドルの価値、自分の時間の価値と相談して課金するか否か判断してください。

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作りやすいデッキとは

課金するにしてもしないにしても、アリーナで十分に強力なデッキが組めないことには意味がありません。ここではアリーナならではのデッキ選択やワイルドカードの使用について触れていきます。
アリーナで組みやすいデッキは端的に言うと、
レア以上は極力使わない。
ということに終始しますが、同時に強力なデッキはレアが多いもの。大会で活躍しているデッキもレアや神話レアが満載です。やはり勝つなら実績を残しているデッキを使うのが一番。ただし、同じくらい成績を残している大会上位常連のデッキの中にも、アリーナで組みやすいデッキ、組みにくいデッキが存在します。

まず、アリーナで組みたいデッキのデッキリストを用意します。BO3で使う予定ならばサイドボードも含めて。そしてそこからレア以上を取り出して、レアか神話レアかと収録エキスパンションをまとめます。
そもそもレアおよび神話レアの枚数が多すぎる、というデッキは黄色信号です。組むのに必要なパック数が純粋に多くなりがちですから。ただし、それらがほぼ同じエキスパンションのカードであれば、そのエキスパンションを開封する中で自然と必要とするレアのいくつかが集まり、ワイルド・カードの消費を抑えられる可能性があります。
「イクサラン」のレア以上は82種
「イクサランの相克」のレア以上は65種
「ドミナリア」のレア以上は73種
「基本セット2019」のレア以上は85種
「ラヴニカのギルド」のレア以上は73種
です。ショックランドやチェックランドが収録されている割にレアの種類が比較的抑えめな「ドミナリア」や「ラヴニカのギルド」のレアが中心のデッキは狙い目かも知れません。特に「ラヴニカのギルド」はウィークリー報酬のパックにも設定されていますし、この中で一番ローテーションまでの期間が長いので、個人的には「ラヴニカのギルド」でフィーチャーされている5つのギルドの2色のデッキが良いのではないかと思っています。

レアと神話レアの総数は妥当な範囲でも、その中に占める神話レアの比重は大きすぎるとこれまた組むのに苦労します。大体神話レアはレアの1/4の枚数しか獲得できないと考えて良く、神話レアが10枚近いと組むのに相当苦労すると思います。
《ベナリア史》、《大集団の行進》、《暴君への敵対者、アジャニ》とエキスパンションもバラバラな神話レアを多用するセレズニア・トークンは意外と組みにくかったりします。ゴルガリ・ミッドレンジも無理せず組むのであれば、《殺戮の暴君》は2枚程度、《ビビアン・リード》も取れるだけに抑え、足りない分は「ラヴニカのギルド」から出てきた《無効皮のフェロックス》や《破滅を囁くもの》でとりあえず埋めてしまう、というような妥協をせざるを得なくなります。

他との比較

アリーナで課金してマジックを遊ぶことを検討するにあたって、アリーナ以外のマジックの遊び方とも比較しておきます。紙とMO――マジック・オンラインです。

まず紙ですが、この中ではほとんどの場合、紙が一番費用としては高くなります。MOよりも安い紙のカードを見つけるのは困難ですし、アリーナはカード単体で見ると紙よりも明確に安いとは言い切れませんが、まず通常の遊び方をする上で、紙より高くなることは極めて稀でしょう。
ただし、紙のカードは売却することができます。例えば、紙でスタンダードを遊んでいて、ローテーション前にスタンダードで使っていたカードを売れば結構な額が返ってきます。中には購入した価格より買い取り価格が高くなるなんて夢のような話も、相当稀ではありますが存在します。モダンやレガシーなどの下環境のカードに至ってはほぼ値崩れしない、「遊べる安定資産」とも言える状態です。
総じて、紙は購入時の価格こそ高額になりますが、遊び終わった後に売却することで、いくらか購入費用の一部を回収することができる、という特性があります。

それに対して、MOは紙ほどの費用がかからない代わりに、課金した額は原則返って来ません。しかし、MOはゲーム内カードとゲーム内通貨の交換システムが存在するため、紙と同様に要らなくなったカードを新しいカードに変えるゲーム内市場が成立しています。課金した額は現金の形で返っては来ませんが、追加の課金の代わりに使えるゲーム内通貨の形で回収することができます。
つまりMOは、現金化を捨てる代わりに紙よりも格段に安い出資規模で、紙と同じような経済構造で遊べる、という特性があります。

上記2つの遊び方と比べて、アリーナは異質な経済構造をしています。現金化のシステムは現状、そしておそらく将来に渡ってもないですし、現状不要カードを有用な資産に変えるシステムもありません。アリーナは紙よりも格段に安いMOと比べてもなお、更に安いと思わせるカード相場をしていますが、課金額のうちのかなりの部分がプレイにおいてまず価値のない「死に資産」に化け、それらを解消する手立てはありません。
同じ現金化不可能なMOと比較すると、MOは「課金がほぼ全て有益な、課金額相応の資産になる」のに対して、アリーナは「課金がより効率良く有益な資産になるが、それを遥かに凌駕する死に資産も同時に生まれる」ということです。

そして、現状有益だった資産が将来価値が下がったとしても、救済措置は原則ありません。例えば、スタンダードのローテーションが行われ、手持ちの資産の一部がスタン落ちしても、それらを元手に新たなスタンダードのカードを得ることはできません。ある時期に良い成績を収めていたデッキやカードが、後のエキスパンションの発売や、メタの変遷で結果を残せなくなっても、それらを元手に新しく成績を出しているデッキに乗り換えることもできません。
アリーナの課金は、他の遊び方に比べると最も安いように見えますが、再利用性という意味では最も劣っています。紙は売却することでマジック以外のことにも使える現金に、MOはゲーム内交換でマジックにしか使えないですが別の資産に変えられます。それに対し、アリーナは得た資産を何か別の形で再利用する、ということはほぼ不可能です。


とまぁ、ここまでアリーナの課金について一通り触れてきました。アリーナに課金するか検討している方の参考になればと思います。
個人的にはアリーナの資産システムは「ライト層」をターゲットにしているのかな、と思っています。無課金でも徐々にではありますが着実に資産は増えていくので、マジックで遊んでみたいと思っていた人たちでも気軽に楽しめると思います。
また、「アリーナは再利用性に劣る」と書きましたが、これも「ライト層」をターゲットにする上ではデメリットばかりでもないと思っています。再利用性が高いと、あるタイミングで購入や交換するカードの選択を誤った場合、その損失が将来にずっと響いていくことになります。しかし、再利用性が低いことで、多少のカードやデッキの選択ミスは持ち越されずに、ローテーションなどでリセットされていきます。実際、再利用性が高いMOではカードの取引レートを常時監視し、交換によって資産を増やしていく、株のトレードのような活動も行われていますが、アリーナでそのような活動は生まれないでしょう。
マジックのeスポーツ的な発達からも、現在マジックがターゲットにしたがっているだろう配信者の多くは、マジックに触れたこともない「ライト層」です。そういった配信者が軽く流行に触れる感覚で配信の中で遊んでマジックの裾野を広げていくように、アリーナの資産システムや課金システムは考えられているのかな、と思いました。

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