とりあえずモダンがオワコンになる訳ではなさそうだから安心した。(結論)

先日公表された新フォーマット、パイオニア。
なかなか面白そうなフォーマットだと思います。おそらく初期のモダンが担っていた役割をパイオニアが取り戻す…のかな?
モダンに慣れた身だと少しばかりパイオニアの環境に物足りなさも感じますが、総じて取っつきやすい、特にスタンダードに慣れた方にはなおさらなフォーマットになっているのではないかと思います。

モダンとパイオニアの位置づけ

昨年マジック25周年として、マジック全体で盛り上がったことを覚えていますでしょうか?
マジックの歴史は1993年より今年で26年にもおよびます。それら26年の歴史の中のカードがほぼ使えるエターナルフォーマットと呼ばれているのがレガシーやヴィンテージです。
それに対してモダンは2003年以降のカードが使えます。つまりモダンは、マジック26年の歴史のうち最初の約10年分のカードが使えない、裏を返すと過去16年間のカードが使える訳です。スタンダードは過去約2年間のカードしか使えない訳ですから、モダンで使えるカードはスタンダードの約8倍…!
ローテーション後で分かりづらいかも知れませんが、モダンから見たスタンダードは、「イクサランから基本セット2020まで使える以前のスタンダードで、基本セット2020だけでデッキを作る」くらいまで規模に差ができています。レガシーから見たモダンが、「ラヴニカのギルドからエルドレインの王権まで使える現在のスタンダードで、灯争大戦以降だけでデッキを作る」くらいの感覚なのに拘らず、です。

単純計算で、使用可能な時期の比は、
スタンダード:モダン:レガシー=1:8:13
なのです。スタンダード→モダンとモダン→レガシーの落差が激しい!

そこで、スタンダードとモダンの間に、今回パイオニアが作られた訳です。
パイオニアは2012年以降のカードが使えるので、だいたい使用可能なカードは7年分です。さっきの比に当てはめると、
スタンダード:パイオニア:モダン:レガシー=1:4:8:13
かなりバランス良くなったと思います。スタンダードをやっている方が手を出しやすくなったのではないでしょうか。ここ数年スタンダードを追っていた人ならば、売りそびれていたカードが突然日の目を見ることになっているかも知れませんね。

パイオニアの特徴

パイオニアの特徴と言えば、初期の禁止カードのシンプルさが挙がると思います。
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《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》を始めとする、いわゆるフェッチランドのみが禁止であり、それ以外であれば、スタンダードでかつて禁止されたカードであっても使用可能です。
つまり、スタンダードで大繁殖した
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《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter》であろうと、
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《反射魔道士/Reflector Mage》であろうと、問題なく使えることになります。
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かの悪名高きサヒーリフェリダーですら可能です。

環境初期はこれら元禁止カードや《集合した中隊》などの、スタンダードで強力なデッキの中核を成した強力なカードを使った、スタンダード時代の強化版のようなデッキが多く見られるのではないかと思っています。
当然それらが手のつけようがないようなことになれば、いずれ禁止されていくとは思いますが、しばらくの間はこれらのカードをよく見る環境になるのではないかと思います。

パイオニアがモダンに比べて優れているかも知れない点は、モダンで横行している不条理な動きをするカードがほとんど存在しない、という点ではないかと思っています。
モダンの顔とも言える、《タルモゴイフ》や《瞬唱の魔道士》、《ヴェールのリリアナ》《精神を刻む者、ジェイス》、《グリセルブランド》《引き裂かれた永劫、エムラクール》、《否定の契約》《死せる生》《むかつき》《ぶどう弾》、《精力の護符》《霊気の薬瓶》《電結の荒廃者》…挙げればキリがないほど、モダンにはカードパワーが非常に高いカード、理不尽な勝ち方をするカードやデッキが存在します。
パイオニアで使用可能なカードには、意図的か偶然か、これら壊れた動きをするカードはほとんど含まれていません。極めて真っ当にカードをプレイし、スタンダードの延長のような感覚で、スタンダードよりもやや強力なデッキで遊べる。そんなプレイ体験が大半になる、そんなフォーマットに感じています。
フェッチランドを禁止することで、デッキの安易な多色化に歯止めがかかるだけでなく、フェッチランドと一緒に使うことで本来のカードパワーを大きく上回っていたカードも、スタンダード当時に近い使用感で遊べます。
何にしても、非常にスタンダードとプレイ感が似通った、しかし広いカードプールで強力なカードの組み合わせで遊べる楽しさ、ローテーションがないことでひとつのデッキを使い続けられる、モダン的な楽しさ、どちらも楽しめるフォーマットであると思います。

モダンのゆくえ

今までスタン落ちを嘆く人や、スタンダードでデッキとしてほぼ成立しないデッキタイプを使いたいと嘆く人に「モダンにおいでよ」と囁き続けてきた、闇のモダンおじさんこと私ですが、今後は「パイオニアにおいでよ」と囁くことになるかも知れません。
ローテーションなしにスタンダードで使っていたカードで楽しめる場はモダンからパイオニアに移りゆくでしょう。その意味で、「パイオニアの登場でモダンオワコン」という意見も見ます。
しかし、私はモダンが好きということもありますが、モダンは依然として独特の立ち位置を堅持すると考えています。
まずモダンはフェッチランドを使えます。これにより、多色デッキが安定して運用できます。さらにはフェッチランドがあることで、いくつかのカードは強力になります。そしてモダンでは、パイオニアでは使えないような、壊れたカードパワーのカードを使用できます。より強力なカード同士のぶつかり合いが見たい、スタンダードでは到底できなかったような不条理な動きが可能です。
モダンがパイオニアに成り替わられるという声とは別に、モダンがレガシー化していくという意見もあります。確かに、モダンホライゾンが出て、モダンは一段とレガシー的になったように感じます。
しかし、モダンがパイオニアに呑まれないように、レガシーもまたモダンを完全に飲み込めるかと言うとそうでもありません。まず、レガシーにはデュアルランドがあります。レガシーでは必須カードのようにデュアルランドが使われていますが、デュアルランドは非常に高いです。デュアルランドを買わずに遊べるモダンに魅力を感じる人もいるかも知れません。
また、モダンは非常に環境のバランスが取れており、非常に幅広いタイプのデッキどれにもチャンスがある、一種の「楽園」と考えています。
だから、パイオニアが登場しても、モダン人気には影響ないのではないと考えています。